いやー。ここまで経済がメタメタだと分析も何もあったものでは無いでしょうね。
総研コンサルさんやニュースメディアさんには冷徹かつ長期的な視点で、今後の見通しにぜひ投石をお願いしたい所です。
と思っていたら、私的には久しぶりに「その通り!」と思える記事が本日の日経朝刊(2008.10.8)に。WEB上の記事が無いので、ベタ打ちですが転載させて頂きます。(強調:by Regain)
2点 注文をつけるとすれば、米国の分析にとどまっておりグローバルな影響(今は欧州だけですが、中国・韓国・中東・ロシアへに対するコメントが欲しい所でしょうか。また、デフレ懸念を示唆されていますが、スタグフレーションに近い今の局面をどう考えるか、です。が、それ以外は、非常にシンプルかつ鋭い指摘だと思います。
「米金融危機 インタビュー」 元 日銀信用機構局長 田幡 直樹氏
ーニューヨーク連邦準備銀行や米証券取引委員会(SEC)の全首脳と最近、金融危機に関して議論したそうですが、今の米金融と経済をどう見ますか。
「自動車販売や雇用に関する統計を見ると、まさにデフレの瀬戸際という感じだ。株価急落がその懸念映している」
「金融システムの正常化を急ぐべきだ。まず不良資産の売却価格を決め、次に金融機関がそれを直接償却する。売らずに引当金を積むだけではだめだ。その結果として毀損した金融機関の資本を補てん・増強する。補てんは増資など市場からの調達や金融機関どうしの合併、公的資金の注入といった形をとる」
「こうした三つのステップを日本は十年かけてひとつひとつ実施した。米国は数週間で一度に勧めようとして混乱している。うまく進まなければ資本不足の銀行の家計部門が低迷。デフレのスパイラル(負の連鎖)になってしまう」
ー7千億ドル(約71兆円)を投じて不良資産を買い取る金融安定化法の成立は金融システム正常化への第一歩になりますか。
「買取の対象にはなりうる不良資産の規模は簿価ベースで12兆ドルともいう。7千億ドルはその6%にすぎない。簿価をかなり下回る水準で買い取らざるを得ない」
ー時価会計の緩和や凍結を求める声もあります。
「一時的な措置ならやむを得ないと考える。例えば多くの金融機関の次の決算に当たる2008年10-12月期だけ認めるのはどうだろうか。そのうえで一気に公的資金を使った資本増強まで処理を進めればよい」「今回の危機で明らかになったのは、金融機関にとっての資本の厚みの大切さだ。資本に対して借り入れが過大な状態(高レバレッジ)を問題視する向きもあるが、本質をついていない。レバレッジが高くても保有資産の質が優良ならば構わない。借り入れを減らしても不良資産を持ち続ければ問題は解決しない。資産の質に応じて十分な厚みの資本を持つことが重要だ」
ーゴールドマン・サックスなど巨大投資銀行が銀行持ち株会社になりました。
「投資銀行は絶対になくならない。資本市場を使って企業の資産、負債、資本の構成を変え、企業の価値を高める投資銀のビジネスはますます必要だ。ただ有価証券の売買や自己資金を使った投資・買収行為などが過度に走らないよう帰省を受けるということだ」
ー市場全般に規制を強めていこうという動きが目立ちます。
「1980年代にレーガン元米大統領やサッチャー首相が進めた市場万能の時代は終わった。危機の発端は、自由化された米住宅市場で金融機関が所得照明もないような個人にお金を貸したことだ。金融が長らく緩和されていたことも災いし、金融機関が収益と株価の上昇に走り、経営者は高額報酬を得た」「問題の根っこは特別な目的会社を乱用し決算を粉飾した米エンロンの事件と同じだ。規制万能の立場ではないが、人間を暴走に駆り立てない自主規制を作る作業も必要だろう」
(聞き手:小平龍四郎)