レバレッジドローン総額で言えば、シティはメリルの比ではありません。引き当て額が少なすぎる。
【ワシントン=渡辺浩生】米金融大手メリルリンチは16日、2008年第3四半期(7~9月期)決算で51億5200万ドル(約5200億円)の最終赤字を計上したと発表した。シティグループも同日、7~9月期決算で28億1500万ドル(約2800億円)の最終赤字を計上したと発表。低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題や最近の金融市場の混乱に伴い、メリルは約95億ドルの評価損、シティも132億ドルの評価損や貸倒引当金をそれぞれ計上したことが収益を圧迫した。
前期の赤字はメリルが約46億ドル、シティは約25億ドル。メリルは5四半期連続、シティは4四半期連続の最終赤字となった。
メリルは生き残りのために9月、米銀大手バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)による買収で合意している。今月合意した米金融9社への公的資金による資本注入に向け、優先株と新株取得権(ワラント)計100億ドルを政府に発行することを明らかにした。
一方、シティは今月、米銀大手ワコビアの買収戦でウェルズ・ファーゴに敗れ、反転攻勢の機会を逃した。政府による資本注入とともに関連会社やドイツの個人向け銀行業務の売却を通じて財務強化を進めるとしている。
米国の金融機関は、サブプライム関連の損失処理を加速させている。ただ、米政府が決めた資本注入枠は2500億ドルであり、今後も損失が拡大すると、再び資本不足に陥る金融機関が出る恐れもある。