今日の日経新聞(文化面)に、同記事があり興味深く読みました。
趣旨は題名の通りで、題材はNHKディレクターの谷口雅一氏による2007年のNHK特集および書籍をトリガーとして、日本書紀から捉える歴史観への疑問提起という内容です。
この記事が興味深い、というよりはむしろ我々R30世代も含めて我々が学んで来た史観が、こうしてニュースメディアで議論として取り上げられている事実が面白いなあ、と。果たして事実はいかに、という所ですが、記事にも有るとおり史料・発掘成果等が今後十分吟味された上で今は「キワモノ」論議の色彩が強いこうした議論が活発化されるといいな、と思います。
海外に居た際にも痛感しましたが、やはり自国の事を説明できないんですよね。文化の変容が今のRegainにどう息づいているのか、何が日本人として誇るべき資産なのか、という観点で言うと、「美しい四季を持つ自然と、きめ細かいメンタリティ」に集約されてしまって、それ以上の話に展開できず悔しい思いをした事が数知れず有りました。
これは、アングロサクソン系(欧米)人との会話よりも、むしろ日系の方と話す際に痛感する事が多かったです。彼らのほうが自分のルーツとしての「日系とは何か」「日本とは何か」を、相対化できているように思います。我々オリジナルの日本人が、たとえ史実の認識が今後変わったとしても、歴史を俯瞰できないようでは、やはり島国根性と言われても仕方ないですよね。。
『17歳のための世界と日本の見方―セイゴオ先生の人間文化講義』という本があります。
著者の松岡正剛さんは日本文化研究の位置づけで大変ユニークな存在で、文化論だけでなく講義も大変面白い。
彼が帝塚山学院大学での講義担当の際、余りに今の若者が日本の歴史を知らなさ過ぎるので概論ではなく、もっとグローバルな視点からの判りやすい説明を試みた内容が、ナラティブ形式で書かれています。
能楽を日本文化の中継であり核とする点、そして日本と世界を比較しながら一気に古代から近現代までを語るその内容は、何の気なしに読むものの心を揺さぶりますね。。
いや、オススメです。
そんな訳で、この11月は能楽でも見に行こうかと。
長谷には鎌倉能舞台という場所があるのを最近知ったのですが、ここで「能を知る為の会」が不定期に開催されてます。
11月30日には狂言「宗論」と、能「猩々乱」の解説が有りますので。