<日経ビジネス1月31日号:「テレビ 明日なき戦い」>
●地デジバブル崩壊!ソニーはネットテレビなどで差別化、市場縮小にも備え
●シャープ大型テレビ、パナソニック高画質、東芝は低コスト・・・日本勢の命運は
●利益出せぬ「家電の王様」、サムスン家電部門が赤字へ、出血覚悟の値下げ観測
発売予告の時から気になっていたので、昨日の内に読了。 ものを作ることで生まれる付加価値が既にテレビにおいても利益ドライバーでない点だったり、垂直統合モデルと水平分業モデルの比較優位から「日本株式会社」の「テレビ事業部門」として再編淘汰のみならず、統合される可能性を論じたりと、ダイナミックな論旨でした。
が、、。 ぶっちゃけ思うのです。テレビって総合家電の代名詞であるだけにこれまでは日本のメーカーを中心とした競合状態だったんだよなあと。もちろん韓国メーカーの台頭前はGE/Philipsなどは量販店では「競合」の一角にいましたけど、その存在が日本のメーカーを置圧倒的に脅かしていたか、というとそうではない訳で。言い換えると、テレビにおける「市場」は海外も含んでるけど、日本国内で戦ってるのと基本的にはずっと変わらない状態だったんだろうなーと。
設備への大型投資の必要性と、コストカーブが事業構造を決めて、なおかつ日本のメーカーが首位を席巻して「いた」様子は、半導体業界となんら変わらないよね、と思う訳です。
デバイスのコモディティ化を止めるのは、利便性しかない、という意味では、サムスン・LGがインドやアフリカで現地密着型の商品ラインナップ展開をしたのは全く正しいと思うのですが、それを今 日本メーカーが真似して勝てる、というものでもないとも思えます。 それは日本の家電の圧倒的な品質・性能に太刀打ちできない時期における「苦肉の策」が、その国々の持つ今の成長曲線とフィットしながら「ブランド」として既に形成された一つの「圧倒的な」ものであって、それらを超えるのは容易じゃない。
「あ、マネしてきたね」と言う色眼鏡を打ち消すだけの品質差は、製品として訴求できるでしょうし、流れに乗るという意味でローカライズの加速そのものはたいへん重要でしょうが、大切なのは、トップマネジメントや商品企画・マーケティング担当者による「らしさ=ブランド」を否定するような「意外力=企画力」を追求する姿勢かと。
日本の家電メーカーしかできない付加価値創造。 昔、ソニーの設立趣旨にあった、「徒に規模を負わず」を彷彿とさせるような、でも「これが欲しかった!」と言わせるようなEarly adopterを徹底的に追及した製品でも、総合家電の「横の連携」を追求するような製品でも、徹底的に「受像機」として割り切った製品でもいいと思うけど、「こんなの出してくるんだ!」→「だからxxって、やっぱり面白いよね~」と言うポジティブスパイラルへ持っていけるだけの、テレビ製品の登場を、待つ!
日本の家電メーカーの持つ先進の技術と、本来持ってる工夫力、そして「続ける力」に期待を込め直すという点で、激しく良質だったと思います。 10年後に読み直してみたいよなあ、これ。