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書評:スノーデンファイルと僕らのプライバシー

 
 
スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実
ルーク・ハーディング Luke Harding
日経BP社
売り上げランキング: 3,285

R+(レビュープラス)さまより献本を久しぶりにいただき読了。

ウィキリークス事件ってありましたが、あちらをはるかに上回るレベルでの情報漏洩のインパクトとしても、その顛末がどうなるんだろうというミーハー心からも、結構気になっていたので一気に読み切りました。

まあRegainは、通話だろうがメールだろうがSNSだろうが、フェイスブックだろうが、およそ一般個人の会話が監視されていた(いる)と聞いたって別に驚きはしません。表現の自由の観点でいえば、およそ無法地帯なネット社会なわけで、逆に言えばネット上で個人のプライバシーが守られるなんて、はなから信用できませんからね。

今やドイツ首相の電話がアメリカで盗聴できるくらいですから、ほんと何でもありの世界です。

それにしてもこのスノーデンファイルの事実は衝撃的。。

 スノーデンの接触を受けた米国のフリージャーナリストは、いまや、機密情報の宝の山を手にしていた。ロンドンの『ガーディアン』が2010年に報じたウィキリークス事件は、米外交公電、アフガニスタンやイラクの軍事資料をチェルシー・マニング上等兵が漏洩したものだ。そのうち比較的低いレベルの機密指定を受けていた情報でも、わずか6%にすぎなかった。

 ところがスノーデンファイルは次元が違っていた。ほとんどが「トップシークレット」かそれ以上。かつて、ケンブリッジ大学で教育を受けたバージェス、マクリーン、フィルビーらのスパイがソ連に亡命するというメロドラマじみた事件があった。だが、これほど大規模な文書漏洩はいまだに例がない。

情報活動に興味のある人のみならず、ネットを使うすべての人に、その裏側というか国家単位で「何を見ているか」の一部が垣間見えて、お勧めです。  

スノーデンの特徴でもあり、僭越ながらRegain的に好きなところは、ウィキリークスなどと違って反体制的ではなく、純粋に国益を考えつつ一般市民のプライバシーを懸念して暴露するという、若者的な正義感と個人としての行動力。 攻殻機動隊の「笑い男」ことアオイくんとの親和性を感じます。

スノーデンからの情報受領者であるグリーンウォルドによる『暴露』もありますが、インターネットを軸にした国家と個人の攻防という意味で、こちらの本の方がダイナミズムを感じます。『暴露』はどちらかというと、 周到に用意された一人称のドラマストーリーという読後感。

暴露:スノーデンが私に託したファイル
グレン・グリーンウォルド
新潮社
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佐藤優氏が「推薦のことば」としてこう記しています。

国家の干渉を憎むスノーデンが、国際政治の複雑なゲームに巻きこまれた結果、国家主義的なロシアの庇護を受けるようになるというのも興味深い。

機密を保持する内部告発者が逃走、という格好のテーマでもあり、制作が進むこととなったこの事件。

スノーデン元職員の機密暴露、内幕本2冊が映画化

今後も終わることのないでしょう、永遠の追跡劇。これからを生きる僕たち、その次の世代にとっても、きっと「教科書には載らないだろう史実」として、脳裏に鮮明に残る良書でした。