レビュープラスさんから献本頂き読了。
そもそも戦略というのは、見える見えざるにかかわらず「勝つ」ことを前提にしているという意味では、その根底に「いかに戦わずして勝つか」という思想を持っていると言っても過言ではない。
ただし、「競争しない」と「戦わない」は同義ではないのでは、とぼくは思っている。
前者は、いわば10メートル競争という競技に出場しないのに勝つ、というのに対して、後者は10メートル競争の競技中にどうやってライバルを意識することなく圧倒的な強さで勝つ、というようなイメージである。うまく伝わるだろうか。
そして著者の山田さんは、冒頭に本書の主旨をこう書いている。
「競争しない」ためには、業界のリーダー企業と「棲み分ける」か「共生すること」が必要である。
そう、自分のことをよく把握した上でライバルのことをよく研究して、どうつきあってゆくか、が「競争しない」秘訣なのだろう。「うまくやってゆく」ための戦略と言っても過言ではないだろう。その意味では、とても「日本的」な戦略アプローチではないか、とも言える。圧倒的に勝つこと=シェアや利益で他社を大きく引き話すGEのウェルチ会長的なNo.1ポジショニング戦略ではなく、山田さんは以下の戦略をベースに本書を展開してゆく。
- ニッチ戦略
- 不協和(ジレンマ)戦略
- 協調戦略
各戦略の詳細はまさに本書を読んでもらえれば、多くの企業の事例をもとに理解をいただけると思うけれど、本書がAmazon No.1の栄冠を勝ち取っているのは、個人的にはその「戦略の明示性」ではなく、「事例の豊富さ」にあるのではと思う。
他の方のレビューなどを読むと「本当に経営をした事のない人の情けない本」などという批判的な内容もあるけれど、戦争を実際にしない為にそもそも軍師が存在している、という観点に立てば本書に目を通し始めた際に、読んでいる皆さんが「主役=自分」として、本書を役立てることができるのではないかと思う。 事例そのものは古いものから最新のものまで紹介されていて、MBAのケーススタディに近いレベルで内容が展開されているので品質的にはバッチリ担保されていると言える。
読み終えて、気になる箇所をもう一度読み直す。
そして通勤中や週末などに、ふっと気になった箇所に目を通し直してその日の「戦」に備える、そんな本ではないかと感じられる久しぶりの良書。
追伸:同様の読後感として、カテゴリーは違うけれど、以下もおすすめ。
営業のひとも、マーケティングのひとも、経営観と戦略観を養いながら「価格交渉」をどう進めてゆくかを考えた際に「競争せず」相手と対峙できる本だと思う。
こちらもぜひご一読を!
限界利益分析による価格決定戦略―コスト吸収、差別化で優位に立つ、値上げ・値下げ戦術 (Doyukan Brush Up Series)
- 作者: 窪田千貫
- 出版社/メーカー: 同友館
- 発売日: 2008/03
- メディア: 単行本
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