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【レビュー】未来を見通せ!『プロフェッショナルシンキング』ビジネス・ブレークスルー大学編

 レビュープラスさんより献本いただき、読了。

本書のテーマは、表紙にもある「未来を見通す思考力」である。

この「思考力」というところが、いちばんのキモだと思う。

プロフェッショナル シンキング (BBT大学シリーズ)

プロフェッショナル シンキング (BBT大学シリーズ)

  • 作者: 宇田左近,平野敦士カール,菅野誠二,大前研一,ビジネス・ブレークスルー大学
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2015/07/24
  • メディア: 単行本
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けっこう、「思考してる」つもりだったりする

 およそ、ものごとを考えるときに論理的・分析的に対象をとらえ、いわゆる「ファクトベース」で次の展開を単軸的に・類推的にアプローチをするのは、ちょっと訓練をした集団や個人であればできること。

ただし、その行為は「思考」なわけではない、と思う。

おそらく人工知能というものが発達すれば、そのうち彼らが行うべきことになり下がってしまいそうな「論理的プロセス」にすぎない。

自分たちの属する業界や企業、はたまた家庭というコントロール可能な要因とそうでない要因を、さも特殊なように捉えながらどの会社でも、同じ業界ならそういう「プロセス」を経た「未来」は、似たようなものに陥りがちだろうし、家庭であってもそうだろう。そこに思考の要素はほとんどなく、会議室であーだこーだと議論していても、それは「いかに論理的に導出しているか」の吟味と検証を行っているにすぎないとおもうのだ。

その意味で、本著が提示している内容はいたって興味深い。

MBAのケーススタディから「経営の正解」や「事業戦略の固有性・普遍性」を議論するようなビジネス本とは真逆と言ってよく、どちらかというと「思考の訓練を繰り返し、手を変え品を変え」行わせる書籍だと言える。

これから必要な5つの「思考方法」

そのために、、と、ネタバレにならない程度にご紹介すると;

 

1)見通すためには「思考の逃避」を避け、事象に向き合うこと

2)類推(アナロジー)的な思考方法を常に意識し、積極的に活用すること

3)企業の枠を超えた、プラットフォーム的な視座に立つこと

4)個ではなく、巻き込んでゆくこと

5)バックキャスト(未来から逆算)すること

 

・・と言ったような感じになるだろうか。

どの組織にも、こういうことが得意な人がいるが、そういう人は皮肉の意味も込めて「ビジョナリスト(Visionばっか言ってるひと)」と揶揄されることも多いだろうけど、その視点は多くの日本人が上記の1)2)で満足してしまいそうな際に、けっこう目からウロコの発想を提供してくれることも少なくない(会議の冒頭にビジョナリストを入れると、会議が混乱したりもするけど)。

 

脳みそをきたえよう

本書を読んで、ぼくが痛感したのは、すべてのひとがこうした「見通す思考力」を持つ必要はないのではないかな、ということであり、逆に必要だと思えばどんどん訓練し、自分の脳みそを鍛えて行けばよい、ということ。

 

およそ、机上で詰め込んだ知識は、実践や応用をする場がなければすぐに脳からも消えてゆく。でも、思考の方法は、訓練しておけば、その思考方法が必要になったときに再現高く使うことができるものだと思う。さいきん、マインドフルネスという言葉がいろんなところで聞こえるようになってきたけど、本書の中にある数々の手法の集積は、これまでの「切れ味の鋭い論理的なビジネス書」というカテゴリーに属することなく、おそらく「思考訓練のためのマインドセット」として、(ちょっとマインドフルネスとは違うけど)新しく世の中で求められ、そして使われてゆくものになるだろうと思う。