鎌倉ライフリッチ研究所 Ver 3.70 | 人生を、豊かに生きよう。

ようこそいらっしゃいました。スローライフの聖地鎌倉へ移住して7年。グローバルビジネスやM&AどっぷりだったR40が一念発起。 ベンチャーでの仕事を通じた日々のビジネス視点だったり、観光に役立つ鎌倉の美味しいグルメ情報やイベント紹介をしてまーす。プロフィールはこちら(http://profile.hatena.ne.jp/hase263lich/)から。

パナソニック株式会社のブランド戦略に期待する事

panasonic.png

看板・標識から社歌に至るまで刷新を行い「パナソニック株式会社」が始動しましたね。
 (社歌は久石譲による新曲。。。歌いながら泣いてしまいそうな曲なんでしょうか。)

家電Watch記事では、写真を多用しながら大坪社長のスピーチを紹介していました。

今回、社名変更・ブランド統一の最大の狙いは、全従業員の知恵・心・思い・パワーを「結集」すること。全世界の社員の一秒の努力、一滴の汗も無駄に せず結集したい。様々な国籍、様々な事業に携わる、多様な能力を持ったパナソニックグループの全従業員が、1つの名前のもとに結集することで大きな力を出 せると確信している。

パナソニックにすべて統一していくわけだが、改めて意識してほしいのは「松下電器」、「ナショナル」に蓄積された価値の大きさ。創業者は、私たちの 使命を、「事業を通じて人々の暮らしを豊かにすること」とした。富や名声でなく、この使命を達成するために仕事をするのが松下電器。

この考え方が社員の誇 り、他社との違い、困難を乗り越える大きな力となって事業発展を支えてきた。そして、この経営哲学・理念が込められた、数々のナショナル商品は、お客様か ら深い信頼と強い愛着をもってご使用いただいた。「松下電器」には90年、「ナショナル」には80年かけて培った価値がある。それを捨てるのではなく、逆 に、蓄積された価値を、パナソニックに結集して、さらにグローバルに拡大していく。

 

社内の方へのメッセージとしては、非常によく理解できます。

Best Global Brands 2008.jpg

ただし、ですが。

中野満さんの美粒ブログに指摘があるように、私が日本人として感じるのは、上記のように松下幸之助さんが積み上げてきた『製品を通じた松下への「親しみ」』です。ソニーのようにブランドを社名としてグローバル展開する戦略とは異なり、今回の松下、いえ、パナソニックの戦略はブランド再構築に近い。

ご存知の方が多いかと思いますが、海外でパナソニックのプレゼンスは我々日本人が思っている程高くはありません。
インターブランド調査2008年版では、"Panasonic"は2007年から変わらず78位。
そして松下の海外売上構成は、約50%。今後に期待、というべきか、チャレンジングというべきか。

今後パナソニックが"Panasonic"として目指すのはGE(同4位)ですが、既にGEの業態は金融サービス+重電系商社に近いとも言えます。

 

bgb_ge.gifまた、GEの家電そのものはOEMに依存している為に我々日本人から見ると、中国ハイアール(Haier)製とほとんど同じに見えるほどに、GEの家電はブランドの表層にしか位置づけられていない訳です。むしろ韓国LGの方が類似のポートフォリオ構成と言えるかもしれません。

ただ、海外駐在時に強く感じたのは、松下の現地営業力・資金力でした。
現地の卸売り問屋にインセンティブをうまく渡しながら広告展開を行い、製品を店頭に並べてゆく実力には、同じ日本の競合マーケティング担当だった私は、感心の一言でした。ここに、松下イズムが残っているとすれば、GEがトーマス・エジソンに端を発するように、Panasonicも松下幸之助さんをルーツとして、「安心と信頼、そして親しみ」を持つグローバルブランドとなり得るでしょう。

そういうブランドは、実は余り無いのですから。がんばれ、"Panasonic"!!!