当ブログでも何度も取り上げさせて頂いている、鎌倉投信の処女作。
おめでとうございます!
出版のご連絡はかなり前から頂いてて、ものすごーく楽しみにしていたのですが出張だなんだで、ずっと一番読みたかった本にかかわらず、読了できたのがすっかり遅くなってしまいました。
本書を読むと、セミナーに参加できない遠方の方でも鎌倉投信が何を目指している会社なのか? そして「結い2101」とはどういった投資信託なのか、言ってみれば「心」の部分がたいへん丁寧に書かれており良く判る内容になっています。
そもそも投資する側からすれば一般的に見えにくい運用者の直接的なビジョンの伝達手法として鎌倉投信は「結いだより」やブログを持っている訳ですが、定期的な情報更新としてのそれらメディアとは異なり、ページを繰るごとに伝わってくる静かな、そして熱い思いが本書のいたるところに満ち満ちている、まさに「良書」だと言えるかと思います。
本書は以下のような構成になってます;
第1章 儲けようとしない”自利利他”のこころが投資に利益をもたらす
第2章 高いリターンを求めない年輪運用
第3章 日本でいちばん投資したい「いい会社」
第4章 目に見えない価値が目に見える価値を生む時代
第5章 「場」としての鎌倉投信
終章 投資の果実とは
投資はまごころであり、金融はまごころの循環である
『道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳はたわごとである』
この価値観に共感できるかどうかで、鎌倉投信に投資するかどうかは分かれるところだと思います。 直販投信を採算ベースに乗せるためのボトムラインとしては預かり資産が100億円必要だとも言われている中で、鎌倉投信が身を置く環境には相当高いハードルがあるのも事実です。
3.11の大震災を契機に、日本人が目指す「成功」の定義は大きく変質してゆくように思います。 破壊的創造への第一歩として現状を捉えるとするならば、鎌倉投信が投資する「いい会社」は創造の為のマイルストーンの一つであると言えるかもしれません。
だからこそぜひ鎌倉投信には、独立系・長期保有系のアクティブ投信として他に類を見ないその投資理念だけでなく受益者と投資対象企業をつなぐ活動も含めて、これまで以上に広くその意義を伝えながら、関係するすべての人々へ「まごころ」を届けて行って欲しいなあとも思います。