鎌倉ライフリッチ研究所 Ver 3.70 | 人生を、豊かに生きよう。

ようこそいらっしゃいました。スローライフの聖地鎌倉へ移住して7年。グローバルビジネスやM&AどっぷりだったR40が一念発起。 ベンチャーでの仕事を通じた日々のビジネス視点だったり、観光に役立つ鎌倉の美味しいグルメ情報やイベント紹介をしてまーす。プロフィールはこちら(http://profile.hatena.ne.jp/hase263lich/)から。

日本の中小企業が元気になる、ということ

 

迫りくる台風の猛威に嬉々&戦々恐々としながらも、今日は故あって湘南のとある高名な企業をご訪問させていただきました。 

Regainが前職の家電メーカー勤務時代から実はずっと興味深く思っていた、茅ヶ崎方面にあるその会社は、1950年に創業。家族を中心にずっと精密部品を手がけてこられ現在に至る、ある意味「日本を代表する中小企業」的な位置づけの会社と言っても良いかと思います。 

この会社の経営者とお会いして、ひとつの大きな示唆を得ることができたので、ちょっと共有したいと思い久しぶりに「まじめ記事」を書くことにしました。

この会社ではこれまでずっと、顧客企業の求める仕様を満足する部品を作ることがその会社の存在意義でした。そして、バブルやリーマンショック等、度重なるマクロ環境のインパクトを直接的に受け、かつソニートヨタなど、「代表的製造業」が生産拠点を海外に移すに伴ってあれよあれよと言う間に受注が激減。このまま進めば廃業か、という時期もあったと言われていました。

現在経営の中心として動いている、オーナーご子息はずっと東京の企業で働いていたのですがそうした存亡の危機に瀕している家族の会社をなんとかするべく、数年前にこの会社に参加。

彼が取った打ち手は非常に独創的でした。

  • 日本の部品メーカーとしての本当の強みは、「部品=製品」に現れる、「設計力」であり、そうあるべく自分たちを変えてゆくべきだ。
  • そのためには、同業他社と競合するのではなく、助け合いながら付加価値を追及し、自分たちの業界全体で連携しながら強み=設計力を高め、双発してゆく姿勢が必要だ。
  • つまり、身を削るような価格競争は、本質的に意味を持たない。展示会で顧客企業の前にずらりと自分たちや競合が並んで指値で戦う図式はもはや、われわれが行うべきことではない。
  • その意味で、「購買担当」がわれわれのお客ではない。
  • 真のサービス=設計力=を武器にするためには、部品製造力ではなく、部品を使用する、「最終製品の付加価値をどう高められるか」を自分たちが提案できるレベルに達している必要がある。
  • そして、最終製品は、コモディディ化し、EMSや台湾・中国ODMが事実上の生産者である家電業界でもなく、エコシステムが閉じている自動車業界でもない。
  • 日本は重要な「場所」。ただし、この場所に存在する従来の顧客に対して価値を提供する従来的な手法ではなく、海外の、そして高度な部品技術を求める企業へアプローチを直接行うべきだ。

。。。この戦略に従って、この会社は将来的な重要産業(ここでは明かせないのですが)が数多く存在するヨーロッパに単身足を運びます。

そして、現在のこの会社は、欧州企業とアライアンスを組みながら、あくまで「日本の部品メーカーとして」部品の設計をベースにした「最終製品のコンサルティング」を行うに至っており、近い将来には日本・欧州チームが一体となる製品開発を協力に推し進める協業体制を構築する計画を着々と進めています。

 

何が、この会社を変えたのか。オーナーご子息の存在が大きいことは言うまでもありません。

ただし、それだけではない。重要なのは、「従来受身だった」会社が、「自ら積極的に行動を起こした」事が、最大の要因なんだと思っています。時代の潮流だけを切り取れば、ミャンマーへ、ベトナムへ、という形で「メディアに流れるグローバリズムへの追随」という形で海外へ出てゆくことも、これまた「受身」と言えてしまう側面も非常に大きいのではと思います。

そうではなく、「自分たちの強みは、何であるか・何であるべきか」、そして、「本当のお客は誰か、誰であるべきか」、「自分たちはどう行動するべきか」。この3点を本当に悩みぬき、必要なアプローチを愚直に進めてゆく。自分たちで。

この危機意識と行動力に、正直Regainは鳥肌が立ちました。

まだまだいける!日本の中小企業!!

追伸:知る人は既に知っているこの会社ですが、もし実名をお知りになりたい方はRegainのメールアドレス(ページ左のプロフィール欄に記載があります)までご連絡いただければ、ご紹介させて頂きますよー。