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第2回鎌倉 世界遺産フォーラム

世界遺産登録に向けフォーラム、海外有識者が高評価/鎌倉 (カナロコ 8月2日)

「顕著で普遍的な価値を探すことができる。成功すると確信している」(ル氏)「国際的な見地からでも重要性がある」(キング氏)などと、武家文化への高評価が相次いだ。また、「鎌倉を知れば知るほど、取り囲む山が鍵となることが分かった」(ヤング氏)などと、周辺の山間部を評価する声も多く聞かれた。
一方で「推薦文書に(武家文化の価値を)強く表現できるか、鎌倉を見ていない人にも伝わるように表現できるか」(ヤング氏)など、課題を指摘する声も。鎌倉市などでは、今回の意見を参考に、今秋にも国に推薦要請を行う方針だ。

鎌倉市内で開催されたフォーラム第2回目。立地もあってか、前回よりも一般市民が多かったかな、というのが第一印象。

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市内の中学・高校生による世界遺産化への提言、イクロム(世界遺産委員会への助言機関)所属のジョゼフ・キング氏、世界遺産化委員の西村幸夫氏の基調講演を経てパネルディスカッション。第1回目との比較で言えば、「市民対象」へフォーラムのポジションが変わってきたという感がします。

第1回目の課題となっていた、OUV (Outstanding Universal Value=顕著な普遍的価値)の骨格は、①山に囲まれた鎌倉の地形的な特異性 ②現代日本へ通じる「武家文化」の2点を基礎とした、対象ゾーン内の寺社・史跡を訴求要素とする方向で ほぼ規定。 関係者の苦労がしのばれます。フォーラムの中では、武家文化を「自然環境との調和、貴族時代との分離、武士と呼ばれる市民集団による都市形成、仏教・神道文化との融合」=社会システムとしての文化として「見えるもの・見えないもの(tangible/intangible)」の総体としてパネルディスカッションで纏めていたり、ということで個人的には前回からの進展が感じられる内容でした。

鎌倉の世界遺産化プロセスは、書類偽造指摘と、平泉の落選により著しくビハインドしてしまってる訳ですが、冒頭に取り上げたカナロコ記事では 今秋に推薦要請を行うとの事。 書類の件はともかく、平泉の落選理由をケーススタディして十分に絞り込まれているのか?と考えた場合、まだ満足の行くパッケージには仕上がってないのかとも思えます。 平泉は「浄土思想」と「平泉の遺産群」の関係性にたいしての説明不十分と判断された訳ですが、鎌倉においても同様で。 確かに、地理地形のメリットを最大限に活用して生まれた武家文化、なので関係性は比較的明確でしょうが、その「武家文化」の定義をどうするか、で登録の成否が決まるんだろうなと感じました。

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フォーラムでは西洋の騎士文化との対象による説明が試みられていて、客観性への足がかりもあります。 現代日本の中に武家文化がどう息づいているのか、武家文化のピーク時に存在していた禅宗や能といった個別要素だけでなく、民俗学・文化人類学的な特異性を「土地と人」というかかわりでどう定義するのかを興味深く見守りたいと思います。

また、市民としては世界遺産登録される・されないに関わらず市民が景観・歴史を維持する努力を「市民も」すべき、という点には賛同しました。 観光客でごった返し、市民が時として生活を拘束されたり、逆に観光客が住民によって阻害される事は、そもそも都市のコアコンピタンス喪失ですもんね。。

あ、フォーラムを通じて興味深かった内容として;

・「鎌倉学」なるものがある。(会場の鎌倉女学院には講座として存在する)

・鶴岡八幡宮の裏山が切り崩されようとした際、資産家が一帯を買取り、景観保護を市民ルーツで行った。この事が契機となり、「古都保存法」が成立。

・日本国内で「武家文化」を定義する場合、グローバル視点でみた「顕著な普遍的価値」としての有効性を十分に定義しない限り、「井の中の蛙」的なものにとどまる。

・市民の意見の吸い上げを加速させるべきという思想を委員会が持っている。一言もの申したい市民は多いはず。。

でした。世界遺産登録プロセスを普段 肌身で感じることはありませんが、この記事を書いていてなんだかエキサイティングな気分にさせられます。登録プロセスは、行政や国だけではなく市民が責任を持つ部分も大きく、ハンズオンで何かできないか、と考えさせられます。

日本にあるユネスコ世界遺産~暫定リスト~

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