当ブログの読者の方ならすでにご存知、盟友 理央 周(めぐる)さんの処女作です。
退職間際の出張やらで細切れ時間を使いながら読み進めていたのですが、改めて読み直した上でのレビューエントリーになりました。 日経プレミア新書という出版社の中でも、かなり異色なネーミングの本になるんじゃないかと思います。実際、店頭に並んでいる様子を見ていると、新書であるその性格上、時事ネタ的なトピックを扱ったような他書が多い中で、こつぜんと「サボる・・・」が目に入ってくるのはある意味新鮮でした。
日本経済新聞出版社
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ただし、読み進めてゆくとそのCatchyな書籍タイトルとは大きく異なり、理央さんの経験がぎっしり詰まったタイムマネジメント本になっていることが判ります。 理央さんは現在のマーケティングコンサルタントとして起業なさる前に数々の転職をなさっており、そのインダストリーも自動車部品からAmazon, フィリップモリス、JCOMといったかなり広範囲なご経験を通じて体得されたタイムコントロールの重要性が本書では余すところなく記されている点が非常に興味深いと言えます。
「2割の時間で8割の仕事は終わっている」
これはまさに箴言だと思うのですが、現在 多面的に活躍されている理央さんだからこそ説得力のある表現だと思います。具体的それを実現させるためには、として;
1.価値を生み出す仕事は何かをいつも考える
2.そのための時間を確保する
3.阻害要因・問題を発見する
4.問題をつぶす
5.習慣化する
の5プロセスが本書には書かれていました。 ワタミの渡邉さんの表現を借りれば「急がないけれど重要なこと」に時間を割くためにはどうするかを常に考えて、PDCAをきっちり実践するということでしょうか。 言うは易しなんですね。 マネックスの内藤さんが本書のレビューとして、「細切れ時間をどうやって活用するかを考える」とご自身のスタイルを評されていますが、おそらく理央さんの場合はクライアントへの成果物とするコンサルタントならではの時間の割き方を突き詰めた結果、上記のアプローチを貫徹なさるようになったのだと推察されます。また、細切れ時間をどう活用するかは、Facebook / Twitter 他もろもろのソーシャルメディアを駆使する理央さんにとって、さほどプライオリティを置かずとも実践できてしまう作業なのだろうなあと思われます。
翻ってRegainはプロジェクト推進を行うその性格上、繁忙期と平常時みたいなかたちで時間の波が大きくアップダウンすることが多いのですが、プロジェクトが経営課題に近くなる(例:ベンダーオペレーション構築やサプライヤー戦略みたいな、自分でコントロールできない要素が多く入ってくる業務の場合に「サボる」時間を多く必要としている気がします。 平常時はどちらかというと、各種Meetingの間を縫ってどう効率よく業務をこなすかに重点を置くわけですが、本書を通じて改めて痛感したのは、「継続して、改善してゆく。その改善課題を見つけるための時間は惜しむべきではない。それが創造につながる」ということの重要さでした。
加えていうなら、こうした「時間術」に加え、本書は理央さんが起業に至るまでのプロセスで何を考えていたのか、という、「起業した人の脳みそを覗いてみる」という意味でも非常に参考になる要素がギッシリと詰まった一冊と言えるかと思います。 更にいえば、本書で「理央 周」という「ヒト」の存在を知らしめた後に次のご出版では何を繰り出してくるのか?と非常に楽しみにさせられる一冊でもあります。
理央さん、東京でも盛況ですよ!