これまでのSan Jose, Menlo Park訪問を通じ、Techshopのあり方に関してRegainの中でかなりイメージと現実のすり合わせができてきました。 その翌日には彼の地へ向かいます。
で、San Francisco。
そして、San Franciscoではどうなのか、というところです。Menlo Parkから30分ほど北上。
地図上の縮尺ではわかりにくいか? サンフランシスコ中心部から少しだけ離れてます。
つかず離れずの距離と言ってよいかと。
見えてきます。元々はテキスタイル工場とのこと。
駐車場は、無し。都会です。そして、スチール看板。渋いです。
さて中へ入ります。スタッフ含め、結構人が多い印象ですね。
そして、例によって飾り棚が。置いてあるものたちの数も若干多いか。
FlowのWaterjet cuttingマシン。使いこなしている(と思われ)のがすごい。
ShopbotのDesktop Routerが。最新マシンです。
その先に進むと、木材加工にいそしむ会員さんたちが。
Techshop SFには2階があります。ここからずんずんと登ります。
防眼マスクをここへ置き(いっぱいですけど)・・
まず最初は会議室。ちょうど会議の後なので人がいません。
通りに面した窓が、開放感を演出してます。。
その反対からは、1階を見下ろすことができます。
最初は狭いのかと思っていたのですが、ここもデカイですねえ。
うーん、デカイわアメリカだわーと思いながら会議室を後にします。
通路の先々には、TechshopでのFabricationやActivityに対する会員さんの思いを、創作物とともにパネルでこんな風に訴求。楽しそうですねえ。
会議室を抜けると、また作業場。レーザーカッターのお出ましです。
レーザーカッターは5台あるとのことで、結構予約で埋まっているそうです。
更に直進。左の壁に”Lasers for RENT”と書いてあります。マシンレンタルもするんですね。
その先です。ファブリック系とレーザーカッターが共存しております。
その億です。ここはオープンスペースとして位置づけられており、メンバー同士のコミュニケーションや、スタッフと個別相談(指導)を行ったりする場所になっています。
右手の、レトロなロッカー。
(ポイントは、その上にある”TEDx Golden Gate Park”です。)
こちらにも、そこかしこにツール類が。
その奥では、ベンチャーのtypeamachines.comがスペースを借り切って3D プリンターの開発をやってます。 宣伝しといてね!と言われたので2枚ほどパチリと。
確かに、これだけの設備を持っていて、ユーザーがそこにいるのであれば場所を借りない手はないですよ。 というのは、CAD Insiderのこちらのエントリによれば、Techshop1店を作るのに必要なコストはUSD2Mil (2011年ベース)。設備調達に必要なコストはUSD570Kと言われています。スタートアップを狙う企業からすれば、こうした場所があるのは本当にありがたいことだと言えます。
また、掲示板には以下のようにスタートアップ企業が人材を募集していたり、Techshopそのものがインキュベーション施設の役割を担っている点は、やはり特筆すべきだと思います。
日本においてこうしたオープンな「場所(環境・施設)」はなかなかありません。
サマリーです。
- Techshop San Franciscoは同じダウンタウン郊外にあるSan Joseと比べても、訪問客およびインストラクターの数が圧倒的に異なる。
- テキスタイル工場を効率的にリノベーションさせて行くなど、Techshop SFOの出店の際には時流だけではなく、「出物」を入念に調べる必要があった。
- ここSFOは西海岸の3拠点においては、メディア等への露出はさほどではないにせよFlagship・アンテナショップ的な役割を担っていると思われる。本来はSan JoseやMenlo Parkが担うべきだったのだろうが、時流によりスタートアップ企業やStanfordなどのB2Bっぽい顧客よりもエンドユーザー会員が増えたためか。
- コミュニティとの共存は、他2店とも同様にうまくやっている。 隣接する伝統的・Small Size・多種多様な企業の中において異彩を放つTechshop(作業場)の、地域の中での役割を十分に認識したうえで、コミュニティへの貢献も積極的に行っている点は非常に興味深い。
ということで、全体所感
実質行程としては約1週間のTechshopツアーを終えた今、少なくとも今後日本でこうしたプラットフォームがどう展開されてゆくのかのビジョンのようなものが描けました。 3D プリンタを筆頭に、「こしらえる」ことが大好きな層に対する訴求要素に基づく一過性のブームとして扱うのではなく、継続性を持ったビジネスは何か?という意味です。 結論的に言えば、教育も巻き込んだ、地道で息の長いビジネスを行う必要が日本では必要かな、というところでしょうか。
この辺りは別途機会があれば書いてみたいと思いますが、その前に訪問で得た全体の所感です:
- Techshopでは、Make : の活動や3Dプリンタ・レーザーカッターをこれ見よがしに訴求するような「ケバケバしさ」はなかった。
(見世物ショーみたいな光景がどのショップでも繰り広げられているのかと思っていた。) - DIYを全面に押し出しつつも、それをバックアップするハイテク機材が存在する「作業場」または「インキュベーション施設」と表現できるその施設と敷地の広さは、アメリカならでは言える。
- 各ストア会員800名を誇りつつも、Weekdayはかなりオペレーション的に固定費のインパクトが大きい(作業している人が少ない)ため、第三者からの資金提供が不可欠。
- Autodeskとの積極的な提携関係が今後のTechshopの経営上の成功要因でもありリスクになりうる可能性も否定はできない。
- 本場アメリカのTechshop、やはりベンチャー。テクニカルインストラクターは最低限であり、Techshopのブランディングを強化する、もしくはビジネスとして更に収益を確実にする為の第一歩が「十分な知識を持ち、魅力的な」インストラクターの充実(または、スタッフトレーニングプログラム)が不可欠である。
今回の訪問を踏まえてRegainがご提供できるものがあれば、喜んで協力させていただきます(詳細情報や、人、等々)お気軽にコンタクトくださいませ。
・・・さーて、仕事にもどらなくっちゃ!