ひさしぶりにこちらよりご献本をいただき読了。
3つあれば、十分。
題名の通り、本書は主にミドルマネジメントやリーダーがチーム・組織の運営を行う際の「基礎」であり「普遍的」な要素を示しつつ、具体的な事例でそのケーススタディを行うというのが大きな構成となっています。
著者の若林さんは、大前研一さんの名前でつとに名高いビジネス・ブレークスルー大学院(MBA : ボンド大学院とのパートナープログラム)の設立から携わり責任者を10数年務めた、いわば日本における民間MBAプログラムの功労者といっても過言ではないかと思います。
PHP研究所
売り上げランキング: 3,878
本書の最大のエッセンスは、チームマネジメントのポイントを、以下の3点に整理している点にあります。
- 行動コントロール: プロセスマネジメント
- 結果コントロール: KPIおよびアウトプットマネジメント
- 環境コントロール: 組織風土マネジメント
つまり、組織をマネージ・リードする際に重要なのは、「最適・効率的な行動」と、「目標設定の明確化」と、それらを包含するチーム自体の「雰囲気・環境」の3つの視点からそれぞれの組織メンバーにベストフィットするアプローチを、複合的に実施することとされています。
本書が非常に有用だ、とRegainが思ったのは、リーダーやマネジメントがこれらを認識するだけでなく、チーム構成員が行ってみれば同じフレームワークでコミュニケーションを行うことが可能になる点にあります。 文中でも指摘のある通り、「マネジメント・リーダーの言っていることが、上記3つのどれにあたるか」が理解できるだけでも、チーム員的には「次と、その次に何をすべきか」が見えてきます。
また、コミュニケーションと言う観点においても、何を言っているのか意味不明な上司のレビュー、、と扱われてしまうことなく、マネジメントからは「俺はこの点を話している」チームメンバーからは「私はこの点を課題と考えている」など、課題の特定と具体的なアプローチを話し合う論点を定性的な観点だけでなく、ある時には定量的に、あるいは明確に整理された形で「議論」できると思うのです。
長年付き合った上司と部下。 その、「あうん」の呼吸に基づく組織的な素晴らしさに磨きをかけるには、この3点を把握しておくことは非常に役に立つのではないでしょうか。
Regain自身も、チームメンバーと「チームのあり方」を議論することは普通にあるわけですがそうした際に「単なるグチ」に陥ることなく建設的にアウトプットを出すために、この3点はしっかりと肝に銘じておきたいと思います。 あ、チームという意味では、これはダンナが奥様を、奥様がダンナを、というように家庭においても十分に応用できますね。
余談です。
最後に、題名に「MBA流」とあるのは若林さんのご略歴を踏まえたうえで付されたものと思いますが、どっちかと言うと「行動・結果・環境」という3点を(オビでなく)もっと訴求してもよいのではと思いました。 なんというか、せっかくの素晴らしい内容が、「よくあるMBAかみくだき本」みたいな第一印象になってしまうような気もして。 ここが、非常に惜しい!