よい議事録は、一回読めば頭に入る
第三者が「見てわかる」、「ビジネスに使える」議事録の書き方を解説したいと思います。
議事録の作成における考え方はLogical Thinkingと同様で、いかに構造化するかが重要なポイントになります。我々コンサルタントにとって議事録とは、プロジェクト運営の基盤となる重要な成果物になります。
議事録作成の目的は、ヒアリング/会議の記録・証拠として残すことにあります。具体的にはヒアリング/ 会議が行われた日時、場所、出席者、議事の内容を残します。我々が議事録を書く時には、どのような結論に達したのか、誰が何を言ったのか、次に起こすアクションがきちんと含まれていないといけません。その記録は、プロジェクト内で(ヒアリング・会議に参加できなかったメンバーも含め)情報共有のためのツールとしても使われます。
数時間を要する会議では、誰が何を発言して、何が決まったのか分からなくなる場合がままあります。何が結論だったのか、どのような意思決定がされたのか、きちんと明文化しておくことで、次のアクションプランとスケジュールが明確になり、いつまでに何を準備するのか把握できるようになります。最初のうちは議事録というと軽く見てしまい、「なぜ、こんなことをさせられるの?」という愚痴の一つも言いたくなるようですが、議事録は間違いなくプロジェクト成果物の一部です。また、正直に言えば、議事録も書けない若手コンサルにはそれ以上の作業をお願いしたくない、というのがプロマネの立場から思うことです。但し、議事録作成を当たり前にこなすには、相応の慣れが必要です。議事録作成時の留意点は大きく以下の4点になります。
【1】 議事の再現が可能なよう漏れなく記録すること
その場で議論された内容は漏れなく記録します。特に若手スタッフの最初のうちは、「この話はいらないだろう」というような判断を安易に行わずに、全ての発言内容を漏らさず書く気持ちで向き合う必要があります。
【2】 正確に記述すること
当然ですが、発言の趣旨が正確に伝わるように記述してください。そのためには、正しく、明瞭な文章で(誤字・脱字が無く、正しい言葉遣いで)書くこと。発言の趣旨が正確に伝わるように記述し、必要に応じて言葉を補います。但し、憶測で内容を補足したりしないこと。特に社内用語や専門用語は、念入りに確認することが重要です。この議事録をもとに、報告書資料が作られることがあるため、もしここで間違いがあると、それがずっと残ってしまいます。
【3】 会議の要点・要所が伝わること
第三者が読んで、議事の要点・要所が伝わり易い内容・体裁とします。よい議事録は「構造化」されており頭に入りやすいです。そのためには、下図のピラミッドストラクチャーのような考え方も有効でしょう。会議の内容をそのまま書き下すのではなく、まず内容をピラミッドストラクチャー等で構造化・整理した上でまとめていきます。
【4】 短時間で作成すること
議事録作成の目安は、ファームでも諸説ありますが、会議にかかった時間と同じ時間くらいで作成できるようになることを、まずは目指してみてください。PJTによっては「会議の半分の時間で!」と言われることもあるようですが、とにかくスピード、スピード、スピードです。
議事録は重要な成果物の一つですが、議事録自体は「過去にあったことをまとめたもの」であって、将来に対するソリューションを提供しているわけではありません。コンサルタントとしての本旨は、ソリューションを考えることなので、そのような時間を多く生み出すためにも、徹底してスピードに拘りつつも、クオリティが保つ意識が求められます。