この2週間、台湾→インドと駆け足で回ってきました。10年ぶりのインドには考えられることが余りにも多く、消化不良気味ではありますが、記しておきたいと思います。
1. まじめ編 :
R&D・製造技術拠点化する日本、IT分野でブランド化を志向する台湾、生産拠点=中国に猛追するインド
なぜ日本の携帯がガラパゴス化するのか、と言うと決まって答えは「規制」「マーケティング戦略」「国内志向」の3点が上がるわけですが。 インドの場合は91年の経済改革以降外資の参入障壁が低く、民間による市場拡大戦略を取れるようになった上、CDMA/GSM双方対応とした事もあって2500万人の印僑(Non-Resident Indian)含めてが爆発的なコミュニケーションの需要が生まれた訳ですが(華僑は5500万人)、特筆すべきなのは人口12億に対し、09年10月までに4億5千万人が携帯電話を保持。 中国が13億で7億人の加入者ですが、伸び率の鈍化する中国とインドは全く異なります。(ITUのレポートが詳しい)
実際には、路面店で中国製のフェイク携帯が所狭しと並んでいて、これで通話する分には全く問題ない訳ですから話の長いインドでは必需品になるのは間違いないです。因みにインドが英語・ヒンズー語を公用語としてる訳ですが通常はヒンズー語の方が一般的。英語でしゃべるよりも確実にヒンズー語の方が文法・単語ともに複雑な感じがあり早口で「言葉の密度」を詰めて話す為、どうしても早口になってしまうような韻書あり。あ、インドは03年にテロ対策上、違法携帯の輸入を禁じてます。
月刊加入者が1000万人。年収1000ドルの、主に農村部が購買層となって30ドル~50ドルの端末をプリペイド式で購入。着信は無料、発信は約2セント/分。これまでは限定層しか知りえなかった知識が、近隣の村との情報共有により収穫時期までも判断できるようになっている訳です。国を挙げてのイノベーションが、ここまでダイレクトに実感できるのはインドならでは、でしょうかね。 時短読書のすすめさんのブログがインドのイノベーションに詳しいですが、Goldmanのレポートを踏まえコメントなさっているキーワードが興味深いので引用します。
1.各国の高度成長を維持するためには人口増加が必須となること
2.成長を維持するために教育水準の向上が欠かせないこと
3.政治の安定が必須条件であること
4.通貨の上昇が見込まれていること
現場を見るのは大切。以下のようなグラフでイメージは湧きますが、「発展の伊吹」は確実にインドには存在してました。日本へ帰国して改めて痛感したのは、「競争力は技術でなく戦略から生まれる」という事です。追いつけ、追い越せで現在の繁栄を享受している日本ですが、成長エリアにどれだけ戦略として「仕込み」を入れるか。判ってはいるものの、馴染みのある既存先進国で経営したくなる気持ちをバッサリと捨て、次の10年に向けて今が一番好機なのかもと思いを新たに。
(人口大変動でアジア減速へ:日経ビジネスオンラインより抜粋)
通常Regainは台湾・中国の製造拠点と連携して仕事をしてる訳ですが、「日本ー台湾ー中国」の3極は、IT&家電業界では疑う事のない製品プラットフォームとしてほぼ完成しています。バックオフィス(コールセンター)や自国内消費(TATA)に加え、コモディティ半導体や医療機器の設計製造がこれに、中国と同等の人口を持つインドが名乗りを上げつつあるのを今回の出張で強く感じました。アメリカのインド(や他東南アジア)で始まると、全く構造が変わりますね。。先週の日経ビジネス「今こそ起業資本主義」にまさにその辺りの内容が特集されてますので、ご興味のある方は是非。
2. 【余談】ミニアルバム
今日の一品はデカン高原で作られるNine Hills というインドの赤ワイン。こちらは現地で頂きました。あ、隣に移っているのは台湾の紹興酒。これからの季節に打ってつけ~。
興味深い記事:「インドワイン産業のバブルな未来」Voice of India 2007年5月
案