うむ。
綿密な調査に裏打ちされた筆致と、ストーリーメイク、そして一貫した「社会的テーマ」を取り上げる真山さんの小説は非常に読み応えがあり、Regainもずっとファンでしたが短編には食指が動かなかったのですが、とある尊敬する方から、ご推薦をいただき読了。
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真山 仁 新潮社 (2012-08-27) 売り上げランキング: 190,861
ひとが、ひとと対峙する時に生ずる「自分は」という意識。
ひとが、組織と対峙する時に生ずる、「自分は」という意識。
およそ、個人が社会的な存在として生きる際に、避けては通れないこの「いかに自分と向き合うか、そして生きるか」という命題は、時として他者の生き方を大きく変え、それは社会をも変えるチカラを持ちます。
本書ではなんと言うか、その「禍々しさ」と「清々しさ」を一度に味わえる読後感。
短編として取り上げられるのは、菓子職人であったり、官僚だったり、医者だったり、はたまた総理大臣だったりするのですが、一貫して彼らをして語らせる「食と農業」に関する問題提起も、長編とは違ってダイレクトにメッセージが響く感じで小気味よいです。
一国の総理大臣のエピソードは、なんと言うか星新一のショートショートを読んでいる感じ。
遊びごごろもあって個人的には好きです。
ぜひ、いつか製造業や科学をテーマに、こうした短編を書いてもらえないかと期待させる一冊でもあります。おすすめ。