Regainが医療系ベンチャーに携わるようになって約1年と半年が過ぎ去ろうとしています。
折しも年末ごろから医療や介護、そして関連する新産業についてのメディア報道が過熱的に流され、加えて安倍首相による5カ年計画の見直しがつい先日発表されたように、今まさに「社会課題を国家主導で打破せん」的なムードをすごく強く感じます。
それ自体はRegain的には大変共感しますし、個人としてそうした政策アプローチも理解できるのですが、どうも「社会課題」という言葉を使うと、なぜか遠い将来に必要なもの、自分たちの身近なところにはないもの、のような感覚にとらわれてしまいます。
いわゆる「社会課題」をもっと身近なものとして感じ、考えるために最近重要だなーと思ったのが、世界銀行駐日特別代表の谷口 和繁さんがFacebook上で投稿されていたこちらの内容。
昨年内閣府が公表したものですが、過去何十年の人口推計では高位推計が実現したことはなく、中位推計でさえ楽観的だったというのが実態です。そう考えると、21世紀末までに日本の人口が少なくとも約8000万人減少する、つまり日本の人口が毎年約100万人ずつ減ることを現実的シナリオとして覚悟する必要があります。毎年100万人人口が減るということは、東日本大震災が毎週起こるのと同じことです。それが約80年間続くのです。こういう現実を見れば、結婚、出産、子育てのコストを女性に押し付けること、移民政策を先送り続けること、財政赤字の拡大を放置することが日本の将来にとっていかに重大な危機であるかは明らかだと思います。
社会課題であり、そしてまさしく重大な危機。
おそらく、現在の段階の世代やそれ以上のご年齢の方々は実感として谷口さんが指摘されているような人口減や政策の危機感を感じているのかもしれませんが、一方、読み返し、噛み砕いて「腹に落ちる」ようにしようとすればするほど、身近なところからどんどんと遠ざかる感覚が、Regainにはあります。
危機や課題。自分の勤めている会社が、倒産の瀬戸際にあって、CEOや所属する組織のマネジメントがそれを声高に叫ぶけれど今ひとつピンとこない、みたいな。
じゃ俺たちの取るべき打ち手は何だろう。
地域で生活し、これからその「危機」の大波を被る前にひとりひとりができることは。
で、思考の方向性をちょっと変えてみようと思いました。
危機感=怖い、という風に将来の世の中を捉える前に、これからの「幸せに生きる。幸せに死ぬ」ってどういうことなのか、今まさにもう一度考え直すべき時期なんじゃないのかと。
政府主導の国家戦略特区や、各種の規制緩和で高齢化対策、どんどん進みます。
でも、Regainは思うんです。
ロボットスーツのような補助具つけてそこいらを歩き回る高齢者だらけの景色とか、着けてる当人も取り巻く(生きる)他の世代も、ホントに幸せなんだろうかと。
日本経済再生本部:ロボット新戦略
テクノロジーが進化して、「長く生きる」ことの選択が容易になるからこそ、生きる事の代償や、人本来の「幸せ」を、各人がこれまで以上に見つめ直す世の中になりつつあるんだろうな、と思います。
※ こうした学問的な研究には、「ジェロントロジー(老齢学)」という領域があるのですが、Regainはつい最近、人からのご紹介でようやくそういう学問領域があることを知りました。日本ではまだ研究としては東京大学やニッセイ基礎研が中心のようですが、これから大きく花開くテーマのような気がしています。
少し掘り下げてみようと思っております。